マキノキノイエ

平成25年度住まいのインテリアコーディネーションコンテスト 優秀賞を頂きました。(公益社団法人 インテリア産業協会)

01800_3

敷地には昔から象徴的な一本の槙の木がありました。以前は日常生活の中で室内からは目にする事の無い、人と木の間に少し距離のある関係性でした。今回建物の老朽化に伴い新築する上で木をそのままの場所に残し、新たな位置関係と新たな動線を作る事で人と木の関係性を強めました。又、木の周りを新たに円形に囲い周囲をミニマムにする事で、木の形と存在を最大限に生かす様にしました。その事で日常生活の中で木の下を歩き、時には木の横で腰掛け、室内からは常に木の持つ生命感と安心感を感じ、夜は日中とは異なる幻想的な落ち着きを感じさせてくれる中心的で身近な存在になった様に思います。

立地的には周囲を高い建物で囲まれた都心の中で、白いフラットな面構成の建物にする事により、限られた明るさを最大限に建物内に取り込み、季節や時間帯と共にフラットな壁に映し出される明るさの微妙な変化を楽しめる様にしました。同時に風も庭から庭に建物と生活動線の中心を通って自然に流れていく位置関係にする事で、季節や時間帯によって起こる自然の様々な変化を感じられる様にしました。あえて周囲との関係性から必要以上にガラス面や開口部をもうけるのではなく、それらの位置やサイズによって視覚的に制御し、建物には少しセットバックした余白の部分を作る事で、周囲の建物や道路からの不快感・圧迫感・プライバシーの問題を軽減させました。又、施主の年齢を考慮し、室内全体からテラスまで段差を作らない事で生活動線の中での負担やリスクを軽減させ、無理なく行動範囲が広がる様にしました。同時に建具を引き戸にする事で、風の流れを調整したり介護や高齢者にも負担なく対応出来る様にしました。建具はプライベート性や空調等の事を考えると生活の中で必要な物ですが、必要がない時にはとても邪魔な存在になってしまいます。建具という存在を感じにくくし生活エリアの境界を曖昧にする事で、開放感を保ちながら用途や季節に合わせて必要な部分に境界を作り出せる様にしました。

室内装飾では、年配の方が活用される場所だからこそミニマムな空間の中に力強い色を使う事で、楽しさ・華やかさ・活力が生まれる様に心がけ、家具や照明器具は施主の生活スタイルを把握した上で機能的で空間に合ったものをデザインしました。 その事で高齢化という日本の抱える問題と都心という環境の中で、年配の方でも負担が少なく、楽しく快適にそして粋に暮らして頂ける住宅が出来た様に思います。

03800_5

ファサード

02800_6

中庭

Photo12800_5

リビング

05800_3

和室

06800_3

プライベートリビング

07800_3

収納家具

08800_3

プライベートリビング

09800_3

寝室家具

010800_3

趣味のスペース

011800_3

玄関